short songs





魂に一条の裂け目いれたような眼をした人がいるごくたまにいる




映画館で渡したチョコを二時間もなぜ食べもせず握りしめてたの




嘘つくとき天を仰いで眼を泳がせるひどい仕草が綺麗なのはずる




印象はぼさぼさの髪と落ちてくるからっぽ夕日の赤い照り返し




届かない手はいつだって届かない触れていたって抱きしめてても




君のいる場所はつねに空白でその無にむかって熱が流れる




存在しない人の名前を呼ぶのはやめようとこの十年間思っているの




ワンサイズ大きな服の中でその体どんな動作を準備してたの




ただ寝転がる、ストックルームで寝転がるそのつま先も裾も完璧




食べなさい、後ろから抱いて嫌いな野菜くちに押しこむ甘えた遊戯




向き合うと微笑むちから強すぎてこのまま後ろに倒れてもいい?




身長がそれだけあるとパパみたいうっかり腕組み頬よせぶらさがる




甘えたり甘やかしたりの繰り返し行き着くところはべたべた地獄




そのお尻格好いいねと言えもせずただ見るわたし視線の痴漢




抱えこみ胸にうずめてその頭ふるえる呼吸たべてしまいたい




小瓶のワイン分け合うゲームに興じ今すこし酔って唇ふれて




ひろい胸ほそい胸男の子っていろいろだ腕を回すたびむちゃくちゃ愕く




流れ星、いま見えたよこれがプレゼント?そんなこと訊く人いるんだほんとに




なぜ君の視線の先がみてるもの同じく見てるとわかるんだろう




紅色のビニ傘さしかけ待っていた二人して見る灯はすべてピンク




描く花の繊細に見惚れスケッチ帳もったまま寝転がる布団




いちどだけのキスいちどだけの君にどと忘れない来世になっても




やさしい人の記憶をぶんぶん振り捨てて中野笹塚杉並道中




お見舞いに来るのは反則。素顔なの病院着のまま蹴り飛ばしたい




ノイハウスのチョコの箱から紐解いて髪結ぶ病室きみの手おもう




壊れてく記憶がすべてゼロにする無茶したあの日戸惑ってたきみ




すきなタイプわざわざ言いかえなくてもいいの機嫌とらずに本心言って




あぶと蜂ぶんぶん飛んでたあの朝に待ち続けていた旅先の膝




スカートのすそ翻る青は奇跡きみを乗せてくる列車の疾風




会うためにそれだけのためにやって来た島の熱風くちびる乾いて




会えた途端お寿司を食べるのそれ本気?なんでもいいわ君と過ごすなら




忘れない薄暮の影とお喋りと。ふられて帰って枕噛んでも




おひめさま扱いとても素敵だわリターンを決めて王様あつかい




手が触れてそのまま三秒あたたかさ囲う不自然かるく狂ってる




目が合った瞬間かたむき照れ笑いまじめな職場でこんなのだめよ




背中当てふざける君に焦りすぎ中指たてたあの日は忘れて




僕のことタロット見たでしょ言われても千回も見てもうわからない




君がいたそういう街だというだけで猥雑な都市のフラグ許せる




いつだって頑張りすぎてるその姿いまほどきたい両手を伸ばす




対等になりたいからおれ頑張って。気づいてないのね崇めてるのに




瞬発力だけでできた体と低い目線くずれた髪の奥から宇宙じみた眼




目覚めたら左手にざわり腕枕わたし男の子右から抱くのがすきよ




夜の底ひらたい胸を枕にし上下する息いま私だけのもの




ざらついた声が胸にひっかかる壊れたラジオいまだに受信




触れないで。はっきり肩が怒ってた空白抱いて夜が明けるまで




落日の中をどうしようもないイメージ抱えどこかに還る




ビルと砂、街と地平を合わせ持つ雰囲気の君にいまだ渇いて




こわごわと手を伸ばす君から去る電車ふたりの間に流れる群集




なぜ君と私のパーツ奇跡じみて組み合うようにできてるんだろう




なさけないホテルの闇で額に手こんな場所だけど愛しているの




行儀いいあなたのはずが散らかして動悸のタオルたたむその朝




ぐしゃぐしゃと両手を突っ込み壊したいそういう誘惑そそる髪の毛




気がつけば君のことなどひとつも知らない私のことも何も教えない




泣かせるのとてもすきなの私によって快楽のそこで混じり気なしに




ひと目見た瞬間にもう愛してた滴る血おさえ歩む駅の端




あの場所が甦る渋谷高い空サンセット痛み私たち赤く




自尊感情ないって家裁で言われたよ静かに言える特別なひと




ほんとうに男の子なんだ何度もおもう程に肩かたい虚勢




お願いよ私のもとでは安らいで。二時間ないてた声もたてずに




過ぎていく時間を触れた指だけ数えてた日づけ変わるまで黙り




うみねこが舞い降りる影に固まって膝だけ合わせる別れのその日




いない時間おもい続ける十年間まるで長くない短くもない




その肩も目も他にない絶対ない思いつつ引く去る消す遠ざかる




本音なに。尋ねる声に死にたいとだけ答えた目はあかるい口調




怒るわよ、言ったら瞬時に盛りあがる涙でやだ、声ひびわれて駄々




かんたんに君を示せばぼさぼさの髪とその目だ髪とその目だ




欠落に悲鳴殺して床を叩く数々の夜に記憶糸をひく




君がいない本当にいない君がいないどこを探してもどこにもいない




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