風邪をひいた日

2,3日前からなんだか気持ちが盛り上がらないなあ、鬱屈する理由もないのに、などと思っていたら、風邪をひいた。

ホメオパシーの理論では、病気の症状と治癒過程は「心から体へ」移行していくものらしい。
わたしの場合は→どうも陽気になれないなあおかしいなあ、→はあ、何だか体が重いぞ。誰だわたしに断りもなく重力を2Gにした奴は。→うっ苦しい。ちょ、ちょっと横になっていいかしら。→昏倒。であった。
手枕をして昏倒していたのだが、気がつくと手に当たる自分の息が炎のように熱い。
ゴジラの真似をしてキシャー!と吠えてみた。
やあ、熱い熱い。火を吐いているようだ。ははははは。
などと遊んでいたら、本格的に具合が悪くなってしまった。

翌日、一日をきっちり休んできっぱり治すことにした。
だらだら長引かせて陰気な日々を送るのはかなわない。仕事は停滞し信用は失墜し家計は逼迫し家内は混迷しそのうち闇キンから漆塗り脅迫電報が届いて首を括らなければならなくなる。
そんなダークな未来はイヤなので、一日でみるみる回復することにした。

わたしの場合、風邪(インフルエンザではなく単に抵抗力の落ちた体に雑菌が侵入して起こる症状のこと)の治し方はごく簡単で、ひたすらごはんを食べる。
よく休む。笑う。感動する。水分を摂る。ビタミンCをアホほど摂取する。以上の行動により早ければ8時間で完治する(簡単な人間だ)。
今回の風邪の症状は、38度前後の発熱(と言ったって平熱が37度だから微熱扱いだ)、くしゃみ、鼻水、だるさ、といった軽い鼻カゼものだ。
おす、治すぞ。

9月8日、月曜日。
朝起きて、なかなか爽快な気分‥と思ったらくしゃみの連発によりその気分は強制終了された。
立て続けに5回ハナをかむ。うう、やっぱりバリバリの風邪やん。
とりあえず紅茶を淹れ、そして体重をはかる。
というのは、わたしは滅茶苦茶に代謝が良いぶん病気をした時のエネルギーメーターの減り方も早くて、ちょっとあり得ない速度で体重が減少していくのだ。
うう、45キロ切りかけている。いくらなんでもヤバイでしょう。冥府が見えるよ。
気合を入れて飯を食うことにしよう。
トーストに山盛りのツナサラダを乗っけてかじり、ヨーグルトをかっ込む。
朝の服薬(喘息なので)と一緒に摂るサプリメント関係にビタミンCを4錠追加ッ。なに水溶性だ心配ない。使わないぶんは尿や汗になって流れていってしまう。
なので理論上、Cをやたら多く摂取しても健康上の効果はないはずなのだが、経験則としてはある。効く。偉大なるかなメガビタミン主義。
その後、通常であればやれ掃除だの洗濯だの銀行で通帳記入だの雑事を激しく片付けまくるのだが、本日はそういうことを一切(なるべく)しない。
なるべくゆっくりするのだ。
本日はせっぱつまったメール鑑定等はない。よかたよかた。
電話鑑定のガイダンスを変更して、「体調不良のため本日はお休みいただいておりまあ〜す」と録音した(この日に電話してくださった皆さま申し訳ありません)。
というわけで、デニス・ボックの「灰の庭」、「20世紀少年」の14巻、「ダ・ヴィンチ」、「オレンジページ」を時間をかけて読みまくったわけだが、ああ実に落ち着かない。
ふだんは二ノ金状態で、歩きながら本読んだり雑誌見ながら洗濯したりするのが普通なのだ。乙女座気質が災いしてイライラそわそわする。
そして無限にくしゃみハナミズが出る。ぐるじいー。消耗する。
寒いのにイヤーな汗がどんどん出てくるので、何度も着替える。

さっき食事したばかりだけれど既に飢餓状態に陥ったので、また食べることに。
命をかけてオイラは喰らう。
冷蔵庫を覗くと、「残りご飯」「残り食パン」「一昨日ゆでた卵」「一昨日作ったレッドカレーの残りを小分けにしてあったもの(うわ貧乏くさい)があったので、それらすべてを一つのプレートの上にぶちまけ加熱して完食。
なんとなくバクシーシ。一つ皿の上にご飯とパンが同居してるのって異様だ。炭水化物の嵐。カーボン番長。
カロリーを摂取したことにより熱が上がり、熱い息がごおごお出る。石炭を燃やしながら走る蒸気機関車と同じだ。
同居人Jが「5個も買ってきちゃった」シュークリームをひとつ失敬し、デザートに頂く。

食後は感動することにした。
ケーブルで「フライド・グリーン・トマト」を放映していたので、よろこんで鑑賞する。
‥号泣。首尾よく大感動できた。

次は笑うことにした。
バースデーギフトに貰った「フレンズ」DVDの、吹き替えバージョンをまだ観ていなかったのだ。
登場人物が転べば笑い、ボケれば笑い、さむ〜い空気が流れればまた笑い、どこで笑うのかわかんなくても笑い声が入っているところで一緒になって笑う。
体調の悪いときに、スタンダードなアメリカンコメディはほんとに楽チンだ。
あーははは。大笑い。

夕方になり、各種の努力の成果もあってかなり具合はよくなってきたが、まだ本調子ではない。
太極拳みたいなスピードで着替え、軽いメイクをし、髪をまとめ、とろとろと買い物に出かけた。
ハンカチで鼻を押さえながら。うう、くひゃみがとばらないよ。
ヨロヨロしながらも酒屋に直行し、ワインとビールを確保する。
それからスーパーに。夕食は「風邪の治るメニュー」をテーマにするかなー。

帰るとポストに小包が届いていた。
遠方の友人から、誕生日のお祝いカードとプレゼントだ!わーいわーい!
‥て、誕生日は2週間前だったんすけど。
魚座さんらしく、の〜んびりした性格で、そしてまた魚座さんらしく、限りなく優しい性格の友人に、すぐさまお礼の手紙を書きつづるのであった。
えーと、プレゼントは漆塗りの何かに螺鈿で何かを施したものでした(わあ渋い)。

夕食は、
・豚肉のチーズ巻き(付け合せは、キャベツの蒸し焼き)
・さつま芋と葱の味噌汁
・コーンとマカロニのサラダ
・梨
以上。風邪ひき対応になっているのは、味噌汁の具くらいであろうか。
しかし作り終えた瞬間にまた猛烈に飢餓状態に陥ったので、同居人Jの帰りも待たずにひとりでさっさと食べることにした。
‥我ながら凄まじい勢いで喰らいついている。
本能の深ぁい部分から「とにかく食え!」というサインが出ているのであろうなあ。
ごちそうさまでした、と自分に言い、おかたづけし、つめたい緑茶をアホほど飲み、町田康の「テースト・オブ・苦虫」及び江國香織の「泣かない子供」を読む。
その後、夜半にメールチェックやサイト巡りを行なうころには、すっかり気分も調子もよくなっていたのであった。

だからといってその晩から豪快に筋トレを行い、ひとっ風呂浴びて呵呵大笑しながら大酒を飲む、といういつものパターンに突入したのはどうかと思うが、やはり健康はありがたい。
調子が悪いと、心根までヨレヨレになってしまうのが辛いのだ。
「この世の中も人々もこの不幸な自分に何にもしてくんない、バカー」という、すねた幼児みたいな受動的態度に陥ってしまうのだ。
この世界はどうやら最悪の場所かもしれないが、そこに冒険に出掛けていって何とかするのが人間のやることではないかと思うわけだ。
つう訳でなるべく、心身ともにエネルギーがもう余っちゃって大変で何かせずにはおれないよ、わははは、という状態でいたい。
ええ、健康第一。(←そんなら酒やめんかい。)

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