はじめての反戦(後半)

前回までのあらすじ:戦争に反対なのだ。と叫んで私こと三上はプラカードをつかんで立ち上がった。
と思ったら素早くまた座った。だって実際に行動を起こすのは怖いし面倒だし無知をさらすだけなのかもしれないんだもん。
すっかりビビってうじうじしていた三上の前に、「一緒に反戦パレードに参加しましょう!」と言ってくれる素敵な仲間が現れた。
♪ちゃららら〜♪みかみが なかまになった!HP 5 MP 10 ぶき:たろっとかーど ぼうぐ:おなべのふた そうび:ばいえるんみゅんへんのゆにふぉーむ(無意味にドラクエ風にしてみました)
そんなわけで、日比谷公園から銀座を巡る反戦パレードに参加することに。

3月8日
午後3時半からスタートするはずだったピースウォークだが、日が暮れ、風が冷たくなり、周囲が暗くなってもいっこうに動かない。
公園内での足止め状態がながながと続いた。
大群衆がつくる列の中ほどに位置していた私たち(アーティスト&ミュージシャン+おまけで占い師一匹チーム)にはなかなか状況が見えなかったのだが、要するに集まった人数があまりにも大規模であることと、また警察との折衝で二車線分の行列が許可されず、スタッフの方々が大変に手間取っておられたのだった。
じりじり、とゆっくり列が前へと動き出し、午後6時を回った頃にようやく、私たちのチームもパレードスタート!
「THE WORLD」のプラカードを、両手で大きく掲げる。
声を上げる。
NO MORE WAR!
寒空に半袖のタフガイ・M氏をはじめ、ミュージシャンチームが絶妙なリズムの鳴り物とシャウトで隊列を盛り上げる盛り上げる。
アーティストチームはプロな技のプラカードやキュートな横断幕でメッセージを発信し、一丸となって通りを進んで行く。
「戦争反対!」「WE LOVE PEACE!」「戦争反対!」「WE WANT PEACE!」
「DON’T ATTACK IRAQ!」「NO MORE WAR!」「のーもあうぉー!」「飲ーもーうー!」
なんか途中から間違ってしまったが、即興で変わっていくリズムに合わせ、大勢の叫び、コール&レスポンス。
銀座の通りを歩く人々や、先にパレードを済ませた人々の声援に応えながら歩く歩く。ひたすら歩く。
車道を延々と歩き続けるということはあんまり無い経験だが、歩道よりざらざらしているので足裏にくる。
しかし戦争反対!WE LOVE PEACE!
最後、寒風に吹き飛ばされそうになりながら殆ど小走りでゴール地点に突き進み、パレード完了!
主催の方々が「お疲れ様!今日の参加者は4万人となりました!」という声で迎えてくれたのだった。

3月9日〜14日
戦争関連のニュースが一分刻みで動いていくような。
ミズモノの情報に流されないように、自分の中にきっちりした認識を構築せな。
ネットとにらめっこして、図書館で本を借り出し、同居人Jとは毎日朝まで討論会状態。

3月15日
PERPIGNANホームページ更新日、「はじめての反戦・前編」アップ。
人間の盾となる人が、次々とイラクへ向かって行く。
サッカーのナカタ選手が、オフィシャルサイトで「愛と平和」のサイン。

3月16日
原宿で聖パトリック・デイのパレードがあったそうだ。
聖パトリックとはアイルランドの守護聖人。
シンボルカラーのグリーンや、シャムロック(クローバー)を身につけた人々が、楽しそうにパレードしている模様をネットで発見。
ギネスビール(おつまみ付き)が無料で振舞われたそうで‥うう、行けばよかった。
て、いうかその日は原宿でキャンドルギャザリングの平和運動もあったはずなので、そっちに参加してからちゃっかりギネスビールも頂くというのはどうか。
などと図々しいことを考え。

3月17日
聖パトリック・デイ。
アイルランドのめでたい楽しい神聖なおまつり。
かの地は、とってもハッピーに盛り上がっているのだろう。
なのに、48時間以内に他国に攻撃を開始するなどと、肩いからせて一方的にぎゃあぎゃあ言ってる国もある。
喧嘩を吹っかければ、相手だって逆ギレするだろよ。

3月18日
イラク料理の「マクルーバ」を作ってみたが、まるで別物になった。
8日のデモにご一緒した皆さんが、21日の芝公園出発のパレードにも参加するらしい。
私は仕事。残念‥。
そのかわり、と言っては変だけれど、アメリカ大使館前で単独抗議デモを行なおうと決めた。

3月19日
同居人Jが、首相官邸あてに抗議のメールを送った。
めっさビビったらしい。そうだよな。心意気がいります。
私は明日、夕方すこし時間が空くのでアメリカ大使館に。
座り込みしている人がたくさんいるらしい。
使い捨てカイロにスマイルピースと、「STOP WAR」のメッセージを入れて差し入れしよう (パレード待ちで自分が寒かったことが骨身にしみてるらしい)。
名づけて「ぬくもりデモ」(名づけんでもよい)。

3月20日
開戦。
ぬうううう、と憤激しつつカバンにピース・カイロをしこたま詰め込み、バス停に向かう。
さむい。バス来ない‥。
て、ストライキやんか!
賃上げストライキでバスは来ないのであった。
よく「でもぉ‥」と文句を言う人に向かって「デモもストもない!」とまぜっかえしたりするものだが、この場合はデモもストもあるのだ。
そこから歩くこと20分(寒い!)、最寄の駅に到着(カイロが重い!)。
地下鉄(超ラッシュだ!)で虎ノ門に赴き、宵闇の官公庁へ。
遠くから、演説とざわめき、シュプレヒコール。不穏。めっさ不穏。
近づいていくと、大使館前には警察によるバリケードが築かれ、建物に近寄れないようになっていた。
「通せ!」「下がりなさい!」の押し問答。次々に詰め掛ける人々。のぼりを立てた運動化っぽいオジサンたちや、手書きのプラカード片手に地下鉄構内から飛び出してくる元気な女の子たち。
座り込み以前の状況だったので、即座に方針を変更し、寒そうな人にピース・カイロを配り歩くことにした。
「アリガートゴザマース」と喜んでくれた外人さん、冷た〜い視線を浴びせてくださったOLさん、泣かんばかりに感激してくれた全学連のオジサン、等、いろんな人々との邂逅。

3月21日(春分点)
芝でWORLD PEACE NOWのピースウォーク、参加者5万人。
渋谷には高校生が集まり、平和集会。
その他全国で、全世界でさまざまな反戦イベント、ピースパレードが行なわれた。
「イラク問題の平和的解決を求める日米市民のアピール」に、友人たちと署名。

3月22日
昨日のピースウォーク参加者、警察発表では「1万〜1万5千人位」となっている。
あざといんじゃないですか。

3月24日
Jに、首相官邸から返信メール。御挨拶文雛形慇懃木で鼻をくくる。
「米国のイラク戦争への日本政府の支持撤回の意見申し入れ」に賛同署名。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞ドキュメンタリー部門を受賞したマイケル・ムーア監督、政府批判の爆弾コメント。

3月26日
レニー・クラビッツがイラクの歌手とコラボレーションし、反戦ソングを発表。
すかさずダウンロード。‥これを歌いながら行進するのは難しそうだ。アラビア〜ンな衣装でくねくね踊り歩きたくなる。くねくねピースパレード。

3月27日現在
「とっとと終われや!こんな戦争!」
ニュースを見ながらそう吐き捨てることはたやすい。
そう言っている人を軽んじて、馬鹿にすることで自分のプライドを保つことはもっとたやすい。
「わかんないから‥」と無関心でいることが、もっともたやすい道だろう。
こんな戦争をとっとと終わらせるために、できることを見つけるのが最もむずかしい。
相手は国だ。世界だ。でけえ。怖い。
タロットカードでも「]]T・世界」は最強の札なのだし‥。
(私はタロット占い師なので、ついタロットを叩き台にしてものを考えるくせがある)
‥最強の「世界」より強い札があった。
それは無敵の「愚者」だ。
完成された巨大なものを表す「世界」よりも、時として未熟であぶなっかしい「愚者」がパワーを発揮する時がある。
「0・愚者」は、可能性そのものだ。
世界がどんなあり方であろうとも、決してとらわれない。自分の直感を信じて、だしぬけに奇想天外な行動に出る。
その意表をついたアプローチが、世界を揺るがして大きな変化の源泉になっていくのであった。
そーだった。
お留守な足元が災いして崖から転げ落ち、阿呆者の烙印を捺されることになったとしても、とりあえず私は愚者パワー目指して頑張ろう。

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