日常タロット。



何をいまさら、と言われるかもしれないが、
タロットって便利だ。実に、おそろしく便利なツールだ。

「自分のことは占っちゃいけない、って聞きますけど・・?」
講座の生徒さんにそう訊かれることがある。
そういう主義を持ち、他者のことのみに心を砕き一念集中、己のことなど占ったりはせぬ。という、潔い占い師さんもおられるだろう。立派だ。
わたしは立派でないので、じゃかじゃか自分のことを占う。
自分のこと、ったって悩みとか人生の選択とかそういうレベルですらなく、
もはや「く、くだらない・・・」と人々が呟きばったり倒れてひくひく痙攣するようなことを、タロットで見る。

例えば、
人さまのお家にお呼ばれして、他にもお客様いらっしゃるらしいのだけれど何人になるかわからない、というような時。
「お茶菓子いくつ買っていこうかしらん」
そういうことをケーキ屋の前で、ミニチュア・ライダーこっそり引いて占ったりしている。
ペンタクルの6だからケーキ六つね、でアドバイスがカップの5の逆で、飲み物が足りなくなるみたいだからジュースも買っていこう、
そういうことをして、結果それで丸くおさまるんだからオーライ。

タロット通信講座のレッスンの時間、
生徒さんから電話かかってくるはずだけれど何分待っても来ない。
「ん、忘れてるのかな」
でカード引いたら「吊し人+ソードのA(逆位置)」で、どうも問題あって電話できないみたいだからこっちからコール、
「あの、あの、電話番号をメモした紙をなくしてしまって困っていて・・」
「あーそうでしたかー」
で、丸くおさまるんだからやっぱりオッケーではないか。

なんという、しょうもない使い方。低いも低い日常レベル。

実際もっとひどい。

出かける前にもタロット引く。天気を見るのだ(世の中には天気予報というものがあるんですよみかみさん)。
ソードの3とか「星」の逆位置が出たら傘を持っていく。
「塔」が出たら雷おちるから出かけない。雷は大嫌いだ。
時々ペンタクルのAの逆位置などで、「おい財布忘れてるぞ」と注意されることもあって、「あ」と気づけて事なきを得る。
べ、便利だ。

そろそろタロットなしに生活できないほどに、なっているのかもしれない。

思い出せるうちで一番ばからしく、そして役に立った出来事について。
・・・全国の「三上家の父」ファンの皆さま(いるんかい)、お待たせいたしました。
いつもいつも何かしらやらかしてくれる、そして正体不明(実の子どもにも)な三上家の父、またもや登場です。

父がデパートで迷子になり、それをタロットで探し出した、という話である。
デパートで迷子になるのは子どもの特権である。親のほうがふらふら迷って消えないでほしい。
でも、まあ。うちの父ですから。

数年前の初夏。
わたしと父は、弟夫婦のマンションを訪問するため、近くのデパートで「お土産」を選んでいた。
おもちゃ売り場である。
父にとっては初孫の、よちよち歩きのショーゴにお土産。
「プールがええじゃろう」
まだ歩けない孫を泳がせますかお父様?
言っても無駄っぽいので放っておいて、嬉々としてビニールプールを物色する父を、すこし離れたところから生暖かく見守っていた。

一瞬、ほんとに一瞬目を離したその隙に。
視界から父が消えた。おや? と見回す。
見当たらない。レジか?
レジを見にいって、また戻って、やけに広いフロアをぐるり探したが、いない。
もー、つって電話をかけたけれど、つながらない。
あ、そうだ。今日、家に携帯を忘れてきたって言ってたっけ!

おいおいおい、困るよー、
わたしは何度もその階を探し回り、そして父の行動パターンを推理。
あの人「うまいもの」を人に食べさせて悦に入る癖があるから、食品売り場にふらふら迷い込んだ可能性が高いな。

地階の食品フロアに下りるわたし。日曜の午後、ものすごい人出だ。一メートル先が見えない混雑ぶり。
うわあ、これじゃこのフロアにいたとしても、探し出すのものすごく面倒だし!
それでもやむない、群集を掻き分けて見てまわり、ふらふらのへとへとになってエスカレーターに戻り、あかん、と呟いて放心。

疲れた、探すのめんどくさい、もう置いていこうかなー。
だめか、デパートに親を遺棄して帰ってはいけませんっ(迷惑だから)。

もういちどおもちゃ売り場を見て、その他のフロアも見て、すでに一時間近くが経過。
あー、だめだ。
非常手段だけど、この際タロットだ。

ベンチに座って手の中でちゃきちゃきカードを切る。もう人に不審がられてもいいよ。
「父が今いる場所」ではなく、「見つかる場所」に照準を合わせて引く。各階を、択一法で。
地階の食品売り場だけが正位置だ。やっぱりそこか。

続いて、「わたしが父を見つけられる場所」について引く。
ワンドの3+星。見晴らしのいい高いところだな、よし。

食品フロアに戻って見回すと、階段を半階ぶんのぼったところにガラス張りのテラスがあった。おう、あれかい。
たたたー、とそこに上り、ガラスにぴたー、とくっついてフロアを眺めた。
ものの数分後。
お寿司の包みをぶら下げた父が、眼下の通路をとことこ歩いていく。
うおー、わたし猛然とダッシュ。階段駆け下りて、追いかけて、つかまえて、振り返る父、

「ありゃ。どこに行っちょったんじゃ」
のんびり言われて、激しい脱力。

・・・脱力しきったままビニールプール抱えて弟の家に行ってそして脱力したままお寿司を食べました。

という具合に、
タロットは実に便利。よく迷子になる家族を抱えている場合は、とくに。
しかし。
自分の頭で考えるべきところも端折って、何ごともぜんぶタロットで見て決めてしまったり、すると、
アホになりますよ。このわたしのように。えへへへへ。ご注意。

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