名画の世界
  ギュスターヴ・モロー


・・・・・・・・・・

聖セバスティアヌス
 1876頃 黒鉛・イタリア石・紅殻チョーク
ローマの士官でありながら、キリスト教に殉じたセバスティアヌス。
処刑が命じられたものの、弓矢はことごとく急所をはずれ、聖者を死に至らしめることはなかった。




「矢が」
「おう」
「刺さってるわ」
「おう。刺さっとるわい」
「イタないんか」
「そら痛いわい」
「血が」
「もうボッファー、出とるわ」
「痛そうやな」
「痛い言うとるやろ」
「痛かったらー」
「はい?」
「手をあげてくださいねー」
「歯医者!? だからずっと手ぇ上げっぱなしや!!」


・・・・・・・・・・
ヘラクレスとオンファレ 1856−57 油彩・キャンバス
狂気の発作で友人を殺したヘラクレスは、リュディア女王オンファレに3年の年季で奴隷として売られる。
まもなく女王の愛人となったヘラクレスは、女装して糸をつむぐなどして暮らしていたという。




「おはようヘラクレス」
「“おはようヘラクレス”なんか早朝の健康番組みたいですね」
「おだまりなさい。糸はつむぎましたか」
「あ。あー。糸。そういえば昨日、糸巻き渡されたような・・」
「おぼえていないのですか!?」
「いや、おぼえてます、きっちり憶えてますって。糸、はいはい、つむぎましたー」
「・・・リリアン・・・」
「なっかなか難しいもんですね! 糸かけたと思ってもするする抜けて、ほら、こんだけ」
「長い“丸編みヒモ”を作って、どうしようと」
「いや今おれヒモみたいなもんですし、こんなんでも長めに編んどこーかなー、と」
「お座りなさい」
「あ、はい。いや、最初から座ってますけど」
「ふざけるのではありません」
「あっすいません、ふざけてないんですけど、これでデフォルト? みたいな」
「わたくしは糸をつむぐように、あなたに申しつけました」
「はい、えー、そうです。思い出しました」
「なぜリリアンを編んだりしてふざけているのですか」
「あ、ふざけたつもりなかったんですが。ふつうのボケで。わ」
「・・・・・」
「あっ王妃さま怒ってる!? 怒った! ああー、すいませんー」
「ヘラクレス」
「はいー」
「あなたがそのようにお軽い男とは思いませんでした」
「いや、故郷じゃこれでもマッチョなイケメンで通ってるんですけどねー」
「お立ちなさい」
「座ったり立ったり忙しいなー」
「よいこと?」
「え、なんかわかんないけどそれ、萌えるわ。“よいこと?”はいはいはい」
「あなたは今、わたくしの奴隷なのです」
「うーん、やですけど、しょうがないなー」
「乙女の服を着て、糸をつむぐのです」
「どんなプレイよ」
「そして女言葉で、乙女トークを」
「かなりキショイでしょ」
「おほほほ、屈強な男が、英雄が女装でおほほほ、乙女きどり!?」
「ちょ、王妃さま」
「筋肉ムキムキのヒーローが! ひらひら衣装で糸つむぎ!? ぎゃははは」
「あの、お、おちついて」
「あーはははは、たーのしいー! ゴスロリの服きせましょっと!」
「うわ、この人本気やばいわ! 怖いからおとなしくしてよ・・」


・・・・・・・・・・
出現 1876頃 油彩・キャンバス
ユダヤ王ヘロデの前で踊りを披露したサロメは、褒美として洗礼者ヨハネの首を求めた。




「だーん!」
「いや、だーん! じゃなくて」
「出現!」
「いや人の生首、かっこよく指ささないで」
「サロメ的に、今かっこいい瞬間!」
「ヨハネ困るわー」
「だーん!」
「もうええって!」


・・・・・・・・・・
プロメテウス 1869 油彩・キャンバス
神々から火を盗んで人間に与えたプロメテウスは、ゼウスの怒りに触れカウカソス山に鎖で繋がれた。
日毎に大鷲がやってきて肝臓をついばんだが、肝臓は夜毎に再生し、彼の苦痛は耐えることがなかった。



「焼肉でさ」
「いま焼肉のハナシするかね?」
「プロメっちはさー」
「気さくに呼ぶなよ」
「なにが好き?」
「いや今おれね、こんな岩場で毎晩死んでんよ? 毎日おまえ人の肝臓つつきに来るし」
「やっぱハラミかねー」
「聞けって! こんな拷問の最中に焼肉のハナシできるか!」
「レバー、うまいよね」
「お前が食ってるのおれのレバーだっつーの!」
「生でもいけるわ」
「毎日食うなよ!」
「プロメっちはさー」
「だから気さくに呼ぶな! この猛禽!」
「牛角とか月に何回くらい行く?」
「こんな縛られてて行けるか! アホ!」
「やっぱレバーうまいよねー」
「・・・おれ、鶏肉のナマが好きかもな、鳥ワサとかでレアのを」
「ばさばさばさ」
「逃げんな!」


・・・・・・・・・・
ヘラクレスとレルネのヒュドラ 1876 油彩・キャンバス
子殺しの償いをするヘラクレスは、12年間あらゆる王の命に応じよという神託を受ける。
レルネの沼に棲む怪物ヒュドラを倒しに向かったが、不死身で多頭の毒蛇に苦戦した。




「♪ヒュードラ、ヒュドラ、ヒュードラ」
「♪ちゃらららら」
「♪ヒュードラ、ヒュドラ、ヒュードラ」
「♪ヒュドラ生〜活〜」
「歌ってるあいだに何かめんどくさい人きましたわ」
「ああ、あいつあれや。アホで有名な」
「ヘラクレスや」
「うっわー、ムキムキでアホ面ー!」
「剣やら持っていきりたっとんねん」
「いっぺんシメたらなかんねん」
「なんー、金属バット持っとるでー!」
「ばはははは」
「ピッチャーびびってるー♪ヘイヘイヘイ」
「ばはははは」
「ハダカやん、ほんまに、ほんまにアホですのん?」
「ばはははは」
「うわーポーズ決めてるー」
「ばは、もう、苦し、勘弁や!」
「うわーヘラクレスおもろすぎー」
「おわ、向かって来ぃよった」
「おっさん剣めっさ振り回しとんねん」
「ばはははは」
「シャー、とか火ぃ吐いて脅したらあかんやん、かわいそやん」
「ばは、めっさビビってチビってまいよった、おもろ」
「ばはははは」
「なん? 何や書きつけたはるわ」
「口ぶーつぶつ言っとんの丸聞こえやん、○月○日、ヒュドラを討伐・・・」
「ばはははは」
「七つの頭を持った大悪蛇を切り捨てつ・・・」
「ばはは、ちぎっては投げー、ちぎっては投げー」
「退治して帰りました、まる。ばは、あれ営業日誌や!」
「ヘラやんも大変やのー」
「んあ? 何ですのんヘラやん?」
「ハンコください、て」
「ばはははは」
「ほい、シャチハタやけど」
「ああ、納得して帰ってくわあ」
「そしたらなー。ヘラやん。元気でなあー」
「勇者渡世もたいへんやなー」
「いや、あれ王様に言いつけられてドサまわりしてるだけや」
「ばはははは」
「おもろかったな。また、来んかな」

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送